品番-169番
生成の大麻布の蛇腹式小物入れ(小)
野趣溢れる生成の大麻布を蛇腹式小物入れに仕立てました。
大麻布とは、古来より厳寒地方では南方の植物である木綿の栽培が難しく、
おおあさ(大麻草)や苧麻、コウゾや藤やシナなど樹木の樹皮まで、
さまざまなものから繊維を採って衣類を作り出してきました。
古えより日本では柔らかな絹や木綿を着用できたのは、高い身分のものや裕福なものに限られました。
そんな貧しく厳しい自然の中で暮らす農家の女たちが、
家族の衣類、夜具、生活の布としてせっせと織り、作られてきた大麻布などの自然布。
そんな大麻布に出会って、すっかり魅了され、小物入れや袋物を仕立ててまいりました。
今回使用しました生成の大麻布は韓国で織られたサンベと呼ばれる大麻布です。
日本の大麻布とまた違った味わいの、しっとりとした手触りの大麻布は、
自然そのままの佇まいが美しく、
蘇芳染めの苧麻を合わせて蛇腹式小物入れに仕立てました。
白く晒された苧麻は日本の古布。その上布をマチに使ってアコーディオンポケットにしました。
仕切りポケットにも白の苧麻。
前ポケットのは鶸色の極細番手のラミーの布を。
様々な麻の布の手触りや風合い、
またこれまでの薺nazunaには無かった色合わせも楽しんで頂ければ、と思います。
布の補強に、裏に木綿や麻の古布を重ねます。
長く作っている間に、丈夫な化繊の芯地は柔らかな古布を逆に傷めてしまうことを知りました。
昔の木綿や麻は殆どが手で紡いだり、績んだりした”やんわり”とした糸で織られています。
木綿は使って行くうちに、まるで綿=ワタへとかえっていくような手触りになっていくもの。
なので、化繊の芯や裏地、糸がなんだか浮いてきてしまうように思うのです。
そういうわけで、この数年、糸も木綿に、裏打ちにも麻や木綿を使うようになりました。
今回の大麻布には麻を重ねています。
木綿と違って織り組織が粗めの麻だけれど、麻を重ねることによって生まれる空気の層のようなふんわり感、
そしてシャリシャリとした手触りが心地よいです。
固い芯地や型に貼り合わせるのではなく、縫い合わせて仕立てていますので本体は柔らかです。
小物入れとして、中に物を収納することによって、しっかりとホールドされ、
最初のプカプカした感じから、お使いのうちに馴染んで参ります。
収納ポケットは全部で3つ。
ポケットの留め具はシニュ−を編んだループに、
100年以上前のアンティークボタンを使用しました。
かぶせの留め具は30年以上乾燥させた山桜を空豆のカタチに手彫りしたもの。
指で撫でると心地良さに和みます。
桜色のプエブロレザーの革紐がキュッと本体を締めつけてくれます。
一つ一つの工程を手縫いし、仕上げもすべて手仕事で仕立てた小物入れです。
薺nazunaの製品はすべて手縫い仕立て。
手縫いにこだわるのは、布と布の合わせ目がふんわりとふっくら仕上るので、
手織りのものや上質の素材には手縫いで、というのが信条です。。。
手にしたときに心が和むような、かぶせを開け閉めする手が喜ぶような、
愛着の湧く小物入れに仕上ったと思います。
生成の大麻布の蛇腹式小物入れ、
さあ、何を仕舞いましょうか。
size
: 15.5cm × 10cm
(蓋をぴったり閉ざした時のおよその大きさです。)
表布 : 生成の大麻布
内布 : 天然染め苧麻
ポケット : 白の苧麻(古布)、柿渋染め大麻布、鶸色の極細番手ラミー
留め紐 : 桜色のイタリアンプエブロレザー
その他 : アンティークのボタン、山桜の手彫り留め具、シニュー糸
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