品番-163番
福ねずみと縞の大麻布の小物入れ
深い藍に、縹色(鮮やかな青)の縞の型染めの大麻布を小物入れに仕立てました。
古来日本の厳寒地方では南方の植物である木綿の栽培が難しく、
おおあさ(大麻草)や苧麻、コウゾや藤やシナなど樹木の樹皮まで、
さまざまなものから繊維を採って衣類を作り出してきました。
古来日本では柔らかな絹や木綿を着用できたのは、高い身分のものや裕福なものに限られました。
そんな貧しく厳しい自然の中で暮らす農家の女たちが、
家族の衣類、夜具、生活の布としてせっせと織り、作られてきた大麻布などの自然布。
今ではそのゴリゴリした手触りと、野趣溢れる佇まいが珍重される貴重な布となりました。
薺nazunaもこうした大麻布に魅せられてからというもの、長年に渡って袋ものに仕立ててきました。
手にしているうちに、手触りや藍の擦れ具合なども相まって、
何とも言えない愛着の沸いてくるのが大麻布の魅力です。
小物入れとして使用することで、いつも手にして楽しんで頂けることと思います。
縞の大麻布に合わせたのは、藍染の帆布です。
堅く目の詰った織りの木綿は容易に針も通さないほど。
そんな布を黒に近いまでに何度も何度も藍染を繰り返したものなので、
その手間ひまを思うと現代ではもう作ることの出来ないものなのかもしれません。
藍染帆布も手にするほどに、しっくりと馴染み、
大麻布のざっくりした織りとのバランスを楽しんで頂ければと思います。
前飾りの留め具は、来年の干支にちなんで『ねずみ』を彫りました。
山桜の材を手彫りしたものです。
繁栄の象徴の吉祥のモチーフの『ねずみ』を『福ねずみ』といたしました。
内布にはやはり縁起の良い干支の柄の木綿布。
デザインの良い柄の昔木綿がなかなか入手し難く、
こうした良い布に出会えたときが何か心が暖かい気持ちに満たされます。
昔の作り手のデザインの素晴らしさ。藍染めに似合う、品のある絶妙な色合い。
現代にはないものが沢山詰っている昔木綿です。
前ポケットには柔らかな手触りの大きな縞の型染めの木綿を合わせて、
男性にも女性にも合わせられる小物入れが出来上がりました。
ところどころにビンテージのビーズを飾っています。
留め紐はイタリアンレザーの革紐です。
最初はゴツゴツして巻き難いかもしれませんが、
お使いのうちに馴染んで使い易くなってくる丈夫な紐です。
紐にはインディアンビーズの青玉を緒締玉に。
くるくると革紐を巻き付けるのも、小物入れを扱う所作として楽しんでいただければと思います。
薺nazunaの袋ものは文字通りすべて手縫いで仕立てた布手仕事です。
そして留め具も自ら手彫りして作っています。
山桜は出雲の山で間伐採されたものを30年以上乾燥させたものを使用し、
材を糸鋸で切り出し、彫刻刀で一つ一つ彫っていきます。
数段階の耐水ペーパーのやすりで磨き、艶を出して、
仕上げにシアの実から採ったオイルで仕上げます。
一つの小物入れに使う留め具を形にしていく作業は、丸一日以上掛けて作ります。
この行程もすべて手作業で機械で切り出したり削ったりはしません。
手の仕事で仕上げることが薺nazunaの信条だからです。
小物入れが一つ仕上るまでにかかる日数は作品によって異なります。
表布に合う布を探し、緒締玉やビーズなどの素材を集めて、
時には麻糸やシニューの糸で紐を編み、糸や布を染めたり、
一つ一つの小物入れが物語を紡ぐように仕上げるために時間を掛けます。
そうして出来上がったとき、何か言い様のない満足感を感じます。
丁寧に時間を掛けて作ったものだから、
何かしら心和むものをお届け出来たら幸いです。
size
: W20cm × H10.5cm
(蓋をぴったり閉ざした時のおよその大きさです。)
表布 :藍の型染めの大麻布 古布
内布 :昔木綿 古布
ポケット :昔木綿 古布
前ポケット:藍の型染め木綿 古布
留め具:山桜、イングランドのアンティークボタン
留め紐 :イタリアンレザー、シニュー糸
japan blue,indigo,antique hemp, purse, case,
Copyright 2019 薺nazuna All Rights Reserved