品番-165番

縹色の型染めとオイルレザーの小物入れ(ギャルソンウォレット) 

 

鮮やかな型染めは縹色の藍染めのもの。深く濃い藍の型染めはよく見かけるけれど、

こうした鮮やかで爽やかな縹色のものはなかなか出会えない。

以前、黒に近い無地の藍染布の表地に、この布を内布に使った小物入れを仕立てたことがあります。

今回は華やかなこの布を表のかぶせに使って、深く濃い藍染の麻とコンビネ−ションにして、

蛇腹式小物入れ(ギャルソンウォレット)に仕立てました。

 

極細番手の縹色の縞の上布をマチに使ってアコーディオンポケットに。

パリのカフェでギャルソン達が持っていたギャルソンウォレットのデザインです。

お財布にしてもカードやお札がたっぷり収納できるのはシンプルな仕切りならでは。

用途を定めないポケットが逆に使い勝手のよい小物入れに。

チケットホルダーやトラベルウォレットとしても。通帳の仕分けやお薬手帖、母子手帖を仕舞ったり。

またはペンケースなど様々に使えます。

 

袋ものの素材を布、主にアンティークの布にこだわって作るのは、

やはり柔らかな手触りと、他の誰も持っていない自分だけのオンリーワンのものを愛用できる楽しみのため。

布の良さは何よりも修繕しやすく、手馴染みの良さから、

お使いのうちに何物にも代え難い愛着の沸く道具となっていくように思います。

 

表布やマチやポケットに使っている麻はリネンではなく、日本古来の”アサ”とよばれる古代布。

麻の補強に、木綿や麻の古布を重ねます。

長く作っている間に、化繊の芯地は柔らかな古布を逆に傷めてしまうことを知りました。

昔の木綿や麻は殆どが手で紡いだり、績んだりした”やんわり”とした糸で織られています。

木綿は使って行くうちに、まるで綿=ワタへとかえっていくような手触りになっていくもの。

なので、化繊の芯や裏地、糸がなんだか浮いてきてしまうように思うのです。

そういうわけで、この数年、糸も木綿に、裏打ちにも麻や木綿を使うようになりました。

 

そして内布に使っているのは上質な帆布を製造されていた岡山の恵藤織物さんの布。

惜しまれながらも廃業されてしまって、デッドストックの帆布を使っています。

革や藍染布との相性が良くて、織り目が緻密ながら綿糸の豊かさもある、本当にイイ帆布なのです。

 

収納ポケットは全部で6つ。

かぶせの裏のレザーベルトはペンを挟んだり、地図やチケットやメモを挟んだり、

色々に使えると思います。

縹色の縞の上布や日本の繊細な着物地をマチとポケットに使いました。

仕切りポケットはイタリアのヘンプリネンを、

前ポケットには、韓国の柿渋染めのサンベとよばれる大麻布を。

それぞれの”麻”の手触りを比べて楽しんでもらえたらと思います。

 

かぶせの留め具と、紐先につけた留め爪は30年以上乾燥させた山桜を手彫りしたものです。

丈夫なイタリアンレザーの革紐がキュッと本体を気持ち良く締めつけてくれます。

 

一つ一つの工程を手縫いし、仕上げもすべて手仕事で仕立てた小物入れです。

薺nazunaの製品はすべて手縫い仕立て。

接着剤は使っていません。

手縫いにこだわるのは、布と布の合わせ目がふんわりとふっくら仕上るので、

手織りのものや上質の素材には手縫いで、というのが信条です。。。

手にしたときに心が和むような、かぶせを開け閉めする手が喜ぶような、

愛着の湧く小物入れに仕上ったと思います。

縹色の型染めとオイルレザーの小物入れ、

さあ、何を仕舞いましょうか。

 

size : 19cm × 10.5cm
(蓋をぴったり閉ざした時のおよその大きさです。)

表布 :     型染め木綿+藍の厚手アサ (古布)

内布 :     恵藤織物のデッドストック帆布番手違い2種(古布ではありません)

ポケット :   縹色上布(古布)、イタリアンヘンプリネン(古布ではありません)

留め紐 :    イタリアンレザー

その他 :    アンティークのボタン、山桜の手彫り留め爪、麻糸

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