品番-154番

藍のカンタ刺繍と亮布の小物入れ 

 

藍染を繰り返して黒に近いほどに染められた木綿の布。

黒の木綿の糸で円(太陽)を刺繍し、

極細の木綿糸で細かな地刺しを一面に施した、

藍と黒糸のカンタ刺繍。

プレーンな平織りの布に、刺繍と地刺しの糸で作り出したテクスチャー感と

内布には対極な表情の亮布と合わせて小物入れに仕立てました。

 

亮布とは、貴州省の少数民族が自らの民族衣装の為に作りだした布のことです。

手織りした木綿布を黒に近くなるまで藍染して(濃藍に染めるのも大変な作業!)、

卵白などを混ぜたものまんべんなく塗布し、

折り畳んでから砧(木の道具)で布を打ち続け、また畳み直して満遍なく気の遠くなるまで打続ける。

そうしていくと、木綿の布がまるで和紙のように軽くなり、

表面には光り輝く光沢が生み出されるといいます。

それが”亮布(リャンプー)”という布になります。

 

どんなに説明しても、この布を触ると「これが布?和紙じゃないの?」と驚かれることでしょう。

確かに、布とは思えない光沢と手触り。。。

けれども和紙と違うのは、その堅牢さ。

砧打ちで叩かれぎゅっと密になり、針も容易には通さぬほどの織り目。

内布に使ったものは真っ黒で艶やかな布、かぶせのパイピングに使ったものは金色がかった赤紫色の布。

けれど、どちらもベースは藍染の木綿。

こんな珍しい布を楽しんで頂けたらと思い、内布と中の仕切りポケットを亮布にしました。

 

ポケットは全部で3つ。

内ポケットにはふんわりとした生成り木綿布。

生成り木綿に同素材の糸で細かな地刺しを施してあります。

表布の地刺しは60番の木綿糸なので肉眼では地紋様が見え難いかもしれませんが、

生成り木綿のものは30番の糸なので、紋様が浮き上がってアクセントになっていると思います。

 

この生成り木綿、何の飾り気もない、一見するとありふれた布ですが、

戦前の日本で織られたものです。木綿の繊維のふっくらと豊かな織りは、

現代ではなかなか出会えないものだと思います。

手仕事が当たり前だった時代には、日用の布でさえも、こんなに上質なものが作られていたんだなと感心してしまいます。

柔らかで温かみのある布なので、手に触れる機会の多い小物入れに使いたくて。

プレーンな木綿の一部分にカンタの地刺しを加えて少し表情をつけました。

布に施したニードルワークを楽しんで頂けたら、と思います。

 

表かぶせと留め爪には、桜材を手彫りしたものをあしらいました。

桜の木の留め具は指に馴染んで扱い易く開け閉めできます。

桜材は30年以上乾燥させた山桜。

赤味がかった色はお使いのうちに艶が増していきます。

 

革紐はお馴染みのイタリアンレザーのヌメを。

心地よくキュっと引き締めてくれます。

革紐にはビンテージの玉を飾りました。

赤のマーブル色が藍のカンタと亮布によく映えて。

 

布と木、そしてアンティークのビーズ。

異素材の取り合わせが薺nazuna好みの仕立てです。

シンプルなものこそ、使い手の愛着の沸く道具になりえる。。。

そんな思いで物づくりをしています。

 

これは日常を楽しむ人のための日用の道具です。

布に触れ、ビンテージのビーズ、手彫りの留め具の手触りを楽しみ、

革紐でクルクルと巻く、

そんなちょっとした時間に一息ついて貰えれば、と思います。

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薺nazunaの製品はすべて手縫いで仕立ててあります。

どこにも接着剤は使っていません。

手縫いにこだわるのは、布と布の合わせ目がふんわりとふっくら仕上るので、

手織りのものや上質の素材には手縫いで、というのが信条です。。。

 

手にしたときに心が和むような、

かぶせを開け閉めする手が喜ぶような、

愛着の湧く小物入れに仕上ったと思います。

 

size : 15.5cm × 11cm × 1.5cm(厚み)

(蓋をぴったり閉ざした時のおよその大きさです。)

表布 : 藍染木綿  古布

内布 : 亮布(藍染木綿) 古布

内ポケット : 生成の木綿布 古布

前ポケット : 薄水色の上布(苧麻)古布

留め具 : 桜材

留め紐 : 牛革紐

その他 : アンティークのビーズ、麻糸

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