品番-147番

刺し子布と型染め麻の蛇腹式小物入れ

 

無地の藍木綿に極太の木綿糸を二本取りで手刺しされた布と、

鮮やかな花代色の藍の型染め麻の布を小物入れに仕立てました。

刺し子の布は使い込まれた時が一番味わいが出てくるもの。

そんな使い込む楽しさを味わって戴きたくて、

かぶせの前飾りの留め具もシンプルな豆型に彫りました。

背面の麻糸のループにくくりつけた革紐は、

豆型の留め具の中央を通して巻き付ける仕組み。

厚手の刺し子布をしっかりと締め付けられるように、

革紐を留め具の中央を通してみました。

このカタチは初めての試みですが、見た目も機能性も良いものに仕上ったように思います。

前ポケットのかぶせにも、手彫りした留め具をあしらいました。

ループに差し込んでお使い戴けます。

 

お使いのうちに、山桜の留め具は艶が増していくことと思います。

刺し子布も程よくこなれ、藍の擦れ具合も合わさって、

”粋”な小物入れになってくれそうです。。。

 

内布には、江戸幕末か明治期か、という希少なアンティークの麻の型染め布を合わせました。

幕末のものと聞いて手に入れましたが、当時の染め紋様を調べると、

矢絣が染められたのは明治以降とのことなので、

明治から大正に作られたものかもしれません。

けれども、繊細で緻密なラインをここまで藍の型染めで表現するなんて、

当時の職人さん達の技と意地が感じられるお品です。

涼しげな上布の麻を、小物入れに使えるように丈夫にするために、

裏から麻や木綿を当てて、表面に出ないように細かく刺し子して補強してあります。

この鮮やかな花代色の藍の色を生かすように、

濃藍の大麻布や木綿布、花代色の縞の上布を取り合わせました。

 

ポケットは全部で6つ。

カード入れなどの細かなスリットや仕切りは施されていません。

シンプルなポケットと蛇腹の仕切りポケットとかぶせのあるポケットだけです。

 

藍の色と、ヌメ革と山桜の無垢の色。

それらを際立たせるために、あえてビーズや緒締玉は使いませんでした。

布と木と革。

異素材の取り合わせが薺nazuna好みの仕立てです。

シンプルなものこそ、使い手の愛着の沸く道具になりえる。。。

そんな思いで物づくりをしています。

 

革紐でくるくる巻き付ける小物入れや長財布は、

薺nazunaの袋もののトレードマークとなりましたが、

革紐を巻き付ける作業が面倒だと思う方もいらっしゃるかもしれません。。。

でも、慌ただしく忙しい日々の中にこそ、

優雅な所作を楽しむのも良いかもしれません。

 

これは日常を楽しむ人のための日用の道具です。

布に触れ、ビンテージのビーズ、手彫りの留め具の手触りを楽しみ、

革紐でクルクルと巻く、

そんなちょっとした時間に一息ついて貰えれば、と思います。

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薺nazunaの製品はすべて手縫いで仕立ててあります。

木綿糸や絹糸は布にとけこむように馴染んで、化繊の糸のように浮き上がることなく、

布と布をしっかりと縫い合わせてくれます。

芯材は固い材と厚手の木綿布を重ねて糸で刺し子して作った自家製のものです。

どこにも接着剤は使っていません。

蛇腹は上質な上布(麻)を使い、仕切りなどのパーツも一つ一つ手縫いで仕立ててあります。

縫い目が出ないように細かな針目で縫ってあります。

手縫いにこだわるのは、布と布の合わせ目がふんわりとふっくら仕上るので、

手織りのものや上質の素材には手縫いで、というのが信条です。。。

 

手にしたときに心が和むような、

かぶせを開け閉めする手が喜ぶような、

愛着の湧く小物入れに仕上ったと思います。


size : 19cm × 11cm × 5cm(厚み)

(蓋をぴったり閉ざした時のおよその大きさです。)


表布 : 刺し子木綿  古布

内布 : 型染め上布×大麻布×木綿 古布

内ポケット : 水色の上布 古布

仕切り&前ポケット : 縞の上布 古布

留め具 : 桜材を手彫りしたもの

留め紐 : イタリアンレザー

 

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