品番-143番

藍の刺し子布と瑞雲の小物入れ 「天空のうみ」

 

無地の藍木綿に、無地の麻糸でちくちく刺し子した布と、

内布に縞尽しの布で仕立てた小物入れです。

東北の「庄内刺し」や海の男たちが防寒に手刺しした「どんさ」、

江戸の火消しの男たちが炎から身を守った「江戸刺し」など、

そんな無骨で素朴な刺し子にインスパイアされて、

藍木綿を黒と紺の二色の麻糸で刺し子しました。

少し縫い縮めるように運針して、布の表面に「畝(うね)」を出すようにした刺し子は、

面白いテクスチャが出来上ったように思います。

 

内布の縞木綿は青を基調としたものを選び、

パイピングから仕切りポケット、前ポケットに至るまで縞尽しにしてみました。

そんな青の濃淡の縞尽しと、

かぶせにあしらった「瑞雲」に手彫りした前飾りが、

青味がかった空気の中、漂う雲海のようで。。。

そこでこの小物入れを「天空のうみ」と銘をつけました。

 

革紐に通したとんぼ玉は作家さんの手作りのもの。

イメージを伝えて、一つ一つ丁寧に手作りでカタチにして頂いたものです。

乳白色の二層のガラス玉がまさに、「天空のうみ」=雲海を思わせます。。。

 

縞の木綿はどれも肌触りの良いもので、

前ポケットに使いましたのは、一見すると絹のように輝き、

手触りもごくなめらかなもの。

極細の双糸で織られた縞布は、綺羅綺羅(キラキラ)としたアクセントになりました。

 

瑞雲の前飾りや留め爪と同様に、竹の留具も彫刻刀で手彫りしたものです。

140年前の古材の煤竹を使っています。

その飴色の古色が、麻糸で編んだ紐に通したビーズの、

根来塗のような朱色とよく合って。

紐やループも小さなパーツに色もそれぞれ合わせた手作りのものです。

前飾りの瑞雲は、少し艶を抑えて古寺の古材のような趣きに仕上げました。

風雨に晒されたように粗めに磨いて、オイルも軽めに塗布したことで、

これからお使いの方に、艶良く育てて頂こうという趣向です。

桜材は手で触っているだけでどんどん良い艶が出て来ます。

自然素材の持つ経年の変化を楽しんで頂ければ、と思います。

 

藍に黒や紺の糸の刺し子は一見地味ですが、

「畝」の出来上がった布の手触りはお使いの年月と共に、

手馴染みが良く、札入れやカード入れなどの日用の道具として、

また大事なものを仕舞うための小物いれとしても、

愛着の沸くお品になったと思います。

通常の小物入れのサイズよりも大きめのサイズになっておりますので、

お財布代わりにお使いになる際は、お札を折らずに収納もできます。

ポケットは全部で3つ。

シンプルなものこそ、使い手の愛着の沸く道具になりえる、

という思いで物づくりをしています。

 

革紐でくるくる巻き付ける小物入れや長財布は、

薺nazunaの袋もののトレードマークとなりましたが、

革紐を巻き付ける作業が面倒だと思う方もいらっしゃるかもしれません。

でも、そんな風に、

慌ただしく忙しい日々の中にこそ、

優雅な所作を楽しむのも良いかもしれません。

 

これは日常を楽しむ人のための小物入れです。

布に触れ、木の留具の手触りを楽しみ、革紐で巻く、

ちょっとした時間に一息ついて貰えれば、と思います。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

この商品には接着芯や接着剤は使われていません。

布の手触りの良さを生かせるように、ボンドや糊で固い芯を張り付けていません。

布と布を合わせ、手縫いで組み上げて仕立てたものです。

硬い合成繊維の接着芯は古布を傷めることになるので、

芯には上布や木綿布を使っています。

薄い上布などは二重にしたり、裏に薄手の藍木綿を重ねて補強したり、

厚みを調節しています。

中の固めの芯は、人工繊維の芯材を厚手の木綿地などを重ね挟んで、

糸でチクチクと刺し子した手作りのものです。

メンズスーツの毛芯のようなものを作ります。

そうすることで本体と馴染みが良くなり、ゴワつくのを和らげてくれます。

また、人工繊維の芯を木綿で挟むことで古布への当たりを和らげ、

布同士をしっくりと馴染むようにしています。

本体はしっかりと張りと硬さはありますが、

布の柔らかな手触りを残した仕立てのものです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

薺nazunaの製品はすべて手縫いで仕立ててあります。

一つ一つ木綿糸や絹糸で縫い上げています。

木綿糸や絹糸は布にとけこむように馴染んで、化繊の糸のように浮き上がることなく、

布と布をしっかりと縫い合わせてくれます。

縫い目が出ないように細かな針目で縫う手縫いは、

布と布の合わせ目がふんわりとふっくら仕上ります。

手織りのものや、上質の素材には手縫いで、と思っています。。。

手にしたときに心が和むような、

かぶせを開け閉めする手が喜ぶような、

愛着の湧く小物入れに仕上ったと思います。


size : 19cm ×10.5cm

(蓋をぴったり閉ざした時のおよその大きさです。)


表布 : 藍染木綿  古布

内布 : 藍の縞の木綿 古布

内ポケット : 藍の縞の木綿 古布

前ポケット : 極細番手の縞木綿 古布

留め具 : 桜材、140年前の古竹

留め紐 : イタリアンレザー

その他 : 手作りのガラスのとんぼ玉、麻糸

 

Copyright 2017薺nazuna All Rights Reserved