品番-komono81

藍の古代麻と残糸織りの袋もの

 

藍で染められた麻。

日本の古来からの麻はいわゆるリネンの麻ではない。

綿花の栽培が困難であった極寒のの土地などで、

衣服や日用品に使うための布を作るための繊維は何でも利用したとのこと。

中でも早く生長して長い繊維の採れる大麻(オオアサ)は衣料や日用品に大活躍したという。

他に、葛、楮(コウゾ)、苧麻、そしてシナの木や藤の木などの樹木の樹皮からも。

そういった素材を総じて”アサ”と呼んだとされる。

この麻はゴリゴリとした手触りのある野趣溢れるアサの布。

まさに薺nazuna好みの原始布。

深く濃く、藍に染められたアサの布を巾着に仕立てました。

 

底部に配した布は、一見すると素朴な格子柄だけれど、

一本一本の糸は機織りの残り糸を集めて糸に紡ぎ直し織った美しい布です。

布を貴重なものとして大事にされていた時代の、手織りの余った糸でさえ無駄無く使い、

そういったものがただのリサイクルや”もったいない”だけで終わらず、

ただただ、”美しいもの”を生み出していた時代の人達が作ったもの。

無地の藍染めの古代麻も、平織りの布の中に、確かな打ち込みの織りの手が感じられ、

昔の妥協のない物づくりを垣間見せてくれているように思います。

 

古代布の麻に、厚手の縞の麻の古布を合わせて、

内側の底部分に丈夫なように、生成りのオーガニックコットンを配して。

内側が濃い色だと中の物が見えづらく、取り出しに苦労もあるので生成りの布を合わせました。

 

巾着の紐通しには、一つ一つシニュー糸でループを編んでいます。

シニュー糸はネイティヴアメリカンの革細工に用いられてきた大鹿の腱を糸にしたのが由来です。

今では人工糸で動物由来の腱を模したものを使用されています。

細く裂いて使うことが出来、そして強靭な人工シニュー糸は、手縫いの革製品にだけ用いられてきました。

薺nazunaでは小物入れの留め紐や巾着のループや、

穿孔が0.2mm以下の古代ビーズを用いた装身具のネックレス、ブレスレットの製作など様々に使用しています。

シニュー糸で編んだ紐やループは麻糸よりも細く、且つ強靭に仕上げることが出来るので、

今や薺nazunaの物づくりに欠かすことの出来ない素材となりました。

様々なシニュー糸がありますが、インディアン・シニューは最も質の良いものと思って使っています。

革製品の中でも手縫いにのみ使用される人工シニュー糸を製造する職人さんが減ってきているそうで、

こちらも貴重な糸になりつつあります。

 

留め紐は日々の使用に丈夫なようにと、質の良い木綿糸を四つ組に編みました。

昔に作られて、今ではもう作る人がいなくなった丈夫なアンティークの木綿糸です。

現在流通している凧糸とは似て非なるもの。滑らかで光沢のある糸は凧糸とは似ても似つかない上質な木綿の糸。

それを束ねて四つ組に手編みして巾着紐として、

半透明のガラス製の緒締め玉に通しました。

 

袋口には物が取り出し易いように、ボタンで開け閉めできるようになっています。

100年以上前に英国で使われていたボタンと、

表のサイドには、エドワード朝時代のアンティークの小さなボタンをあしらって。

真鍮製のボタンは当時の手作りのもの。

ささやかなアクセントに。

 

一見、シンプルだけれど、

今ではもう容易に手に入ることの出来ない素材を吟味して、

一針一針、手縫いして仕立てています。

手にしたときに何か心が和むような、

袋を開け閉めしたときに、ワクワクした気持ちが心に広がるような、

そんな袋ものに仕上がったと思います。

是非、暮らしの道具としてお使い頂けましたら幸いです。

 

size : W16cm × H21cm(高さにループ含まず。縦横サイズにマチ2cm含む)

表布 : 藍染めのアサ+残糸織りの木綿 古布

内布 : 藍の縞の麻(古布)+オーガニックコットン

紐 : アンティークの木綿糸の手編みの組紐

緒締め玉 : ガラス製のビンテージビーズ

 

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